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ここが東京なのか!神秘すぎてSNS映えする日原鍾乳洞へ行ってみた

2018/05/21


「千と千尋の神隠し」で描かれている、油屋のモデル地を探しているうちに辿り着いた「日原(にっぱら)鍾乳洞」は、ある意味で描かれているアニメのストーリーに共通するものがあります。
物語のなかで「天国なのか?地獄なのか?」のように描かれている、油屋に集まる神々に関係しているかもしれない見どころが点在しています。
 



▲奥多摩駅


都心から車で数時間ほどの距離で、東京都西多摩郡奥多摩町にある「日原鍾乳洞」は、関東最大級の鍾乳洞で、東京とは思えない非日常感を味わえる人気スポットです。奥多摩駅前を通り過ぎると、悪天候になれば通行止めになるような山あいの道を30分ほど進んでいきます。

 



「あまり遠くに行けないし、近場は飽きた!」という人にオススメです。
 



▲日原鍾乳洞案内図


入場窓口でもらった案内図を見てみると、「水琴窟(すいきんくつ)」「地獄谷」「三途の川」「縁結び観音」「世紀の断層」など、30カ所以上の見どころがあります。

 

オリエンテーションのように




日原鍾乳洞は、年間を通して気温が約11度に保たれていると言われています。洞内は入り口からいきなり、地下へ向かっています。岩肌剥き出しの階段が延びていて、1歩1歩・・・足を踏み入れるごとに、ひんやりとした冷たさが増してきます。

 



先に見えない通路は、まるでオリエンテーションしているような気分です。自分の足音以外に、聞こえてくる音はありません。

 


▲旧道と新道の分岐点付近


洞内には、行き止まりや広い空間もありますが、すれ違いができる程度の幅しかありません。照明の明かりを頼りに進んだ途中には、旧道と新道の分岐点があります。まずは、旧道の案内に沿って進みましょう。
見どころの1つ「船底岩」は、「海底から海面に浮かぶ船の船底を見上げるような」角度の岩です。
入口から進むこと10分、軽やかな「水琴窟」の音色が聴こえてきます。耳を澄ましながら、音だけを頼りに歩を進めると、暗闇の中に神秘的に輝く水琴窟を見ることができます。

 


▲地獄谷の分岐点付近


自分の足音しか聞こえない空間なんて、日常生活では味わえません。五感を研ぎ澄ましながら、想像を膨らませてみましょう。
油屋のモデル地を探しているうちに辿り着いた「日原鍾乳洞」ですが、「千と千尋の神隠し」では、千尋の父親と母親が「豚丁横丁」の食堂で、勝手に料理を食べてしまったため、豚にされてしまいます。「豚丁横丁」を訪れる前に、干上がった川を越えています。昼間は干上がっていたのに、夕方は水が満ちる川になっていました。千尋家族は、見どころの1つにある「三途の川」を越えてしまったかもしれません。

 

神秘すぎてSNS映えする日原鍾乳洞




「三途の川」を越えると、入り口から15分ほどで行き止まりになります。狭い通路を通り抜けてきたこともあり、最深部にあるホールのような空間は別世界のように感じます。神秘すぎてSNS映えする日原鍾乳洞のライトアップは、一定間隔で色が変わります。ここまでの旧道は、思ったよりも平坦な通路でした。

 



しばらくの間、ライトアップされている空間に見惚れていたのですが、立体型のスクランブル交差点のように、階段が交差していることに気づきます。見どころの名称などから想像を膨らませると、「千と千尋の神隠し」に描かれている、八百万の神々や得体のしれないカオナシなどが、「死の世界」を想像させるように感じている人も多いのではないでしょうか?

 



空間の壁に向かって延びる階段を上がると、「縁結び観音」が祀られていて、階段手前にある下に延びる階段を下りると、「十二薬師」が祀られています。それぞれの場所にある岩石には、お賽銭が洞内の湿度により表面張力で張り付いています。

 



想像力を掻き立てる空間を、時間が許す限り眺めていたいですが、少し寒くなってきました。
通り過ぎて来た「旧道と新道の分岐点」まで、5分ほど戻ります。

 

インディージョーンズのような気分で




平坦な通路の旧道とは全く違う、アクティブで幻想的な魅力が新道にあります。いきなりですが、大きな岩の間にある階段を上がっていきます。旧道の見どころとは違い、1つ1つの岩肌の荒々しさや大きさを、間近に見て実感することができます。
「精進坂」なんて名前の階段があるように、目の前に次々と階段が現れます。雑念を持たず、ひたすら階段を上がるしかありません。「大天井」というスポットがありますが、あまりの空間の大きさに、天井を見上げても照明の光が届かない闇が広がるだけです。

 



ココまで上り階段ばかりなのでわかりにくいと思いますが、振り返ってみると「急階段」の臨場感が伝わるのではないでしょうか?

 



新道には、「白衣観音」「おとぎの間」「女神の間」など、魅力的な名前が名づけられた見どころがあります。迫力のある岩肌を間近に見ることができる反面、写真を撮る者にとっては、フレームに収まりきらないという、厄介な場所かもしれません。
「白妙峡」あたりから少しずつ下り階段になり、「積雲峡」「雨ふり岩」のあたりまで、「日原鍾乳洞」ならではの、迫力ある写真が撮れるエリアと言えます。

 



迫力ある岩壁の隙間を通り抜けていると、インディージョーンズのような探検家気分を存分に味わえるのが、新道の魅力と言えるでしょう。
映画の世界に飛び込んでいるかのような余韻に浸っていると、急な下り階段の現実が見えてきました。湿度が高いので、狭い通路や急階段は滑りやすくなっています。滑りにくい靴で訪れるのが必須条件ですね。


 

想像力を掻き立てる日原鍾乳洞は「千と千尋の神隠し」の世界




旧道と新道の分岐点に戻るまでは、ひたすら先の見えない階段を下ります。ゴールの見えない下り階段は、まるで未知の世界へ導かれているような感じがして、ゾクゾク感とワクワク感が止まりません。新道は15分ほどで1周できます。まだ体力に余裕があるので・・・もう1度、幻想的にライトアップされた空間へ行ってみます。
「日原鍾乳洞」は自然が作り出した世界なので、人間に都合の良い環境ではありません。見どころには、天国や地獄を想像させるような名前が付けられていました。「千と千尋の神隠し」のストーリー全体に描かれている、「地獄めぐり」を想像させる印象に共通したものを感じる場所です。物語の中の千尋は、目の前の物事に対応するために、選択や決断をしながら成長していく様子が描かれています。

 



物語に描かれている千尋の立場を疑似体験しているように、先に見えない状況で自分を見つめ直しながら成長していく、キッカケになる場所なのかもしれません。
日原鍾乳洞には、色々な神様が祀られているパワースポットでもあり、「油屋にある従業員専用の通路や階段を想像させてくれる」ので、ジブリファンがハマッてしまう場所かもしれません。もう少しSNS映えするパワースポットの元気をもらってから、帰ろうと思います。

 

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この記事を書いた人

ライター MAKIJI

マニアックな旅行ライター。ジブリアニメが好きすぎてトトロの森のある街で「観光コンシェルジュ」として活動中。見過ごしがちでマニアックなスポットや、都市伝説のある場所を彷徨って、妄想しながら「ひとりっぷ」している。