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子どもが撮る「写ルンです」写真の世界

2017/11/29

 

「写ルンです」。
今さら説明の必要もないであろう、レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)の代名詞ですが、2016年に30周年記念のアニバーサリーキットが発売されたり、記念のムックが出たりと、ここのところ、何周か回ってまたひそかに注目されているようです。

スマホ写真全盛期の今、逆に新鮮になったフィルム独特の質感が魅力的であることに加え、ただシャッターを押すだけ、と操作がシンプルなこともリバイバルブームを後押し。

あと、実は非常にタフなカメラでもあるんです。
エベレストなど七大陸最高峰を登頂した写真家の石川直樹氏は、南極で持っていたカメラがすべて壊れてしまった際、最後に残った「写ルンです」で撮影したとのこと。
石川氏は過去に「写ルンです」で撮影したものを集めた写真展も行っています。

操作がシンプルでタフ。
これは、子どもでも簡単に扱えることを意味しています。

子どもが撮った写真は、気のおもむくままにシャッターを切られ、余計な雑念や計算がなくて自由です。

時に思いもよらぬことに気づかせてくれたりもします。
写真集「childlens」(リトル・モア)では、2歳から6歳の子どもたちがレンズ付きフィルムで撮った写真を見ることができ、その衝動と率直さが胸を打ちます。
というわけで、前置きがながくなりましたが、わが家の4歳の息子にも「写ルンです」を渡してみました。


もともと写真に興味があり、タブレットやスマホを使ったことはあったものの、フィルムカメラで撮るのは初めて。
1回シャッターを切るごとにフィルムを巻き上げるところが、いたく気に入ったようでした。
撮影の結果は以下の通り。



↑多少傾いていても気にしない。
クレーン車、線路、バス、電車。目の前の光景を素直に写しとるだけ!


↑子どもから見た大人は見上げになる、という当たり前のことにハッとする。
こういう風に見えていたのか。




↑彼のなかで1歳の弟を撮ることがブームだったようです。







これでもか、というくらい寄る、寄る、寄る。

暗くて写ってなかった、なんて失敗もたくさんあったけど、それもまたよし。

スマホでカシャカシャ撮るのも、もちろんいいですが、現像するまで結果がわからず、子どもの想いが直に感じられる「写ルンです写真」もなかなか味わい深いもんです。

そしてふと、子どもだけじゃなく、もしも犬や猫などの動物がカメラを持ったらどんな写真を撮るんだろう、とあらぬ想像をしてしまいました。

 

 

 

 

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この記事を書いた人

伊東 真尚

1983年生まれ。広告制作会社にてコピーライター、出版社にてDVD業界誌の編集などを経てフリーの編集・ライター。そのとき冷蔵庫にあるもので作る、一期一会の料理がライフワーク。

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